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2016年アセアン・トレンドランキング ~マレーシア編~

マレーシア
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両国の首脳が、クアラルンプール-シンガポール間の高速鉄道プロジェクトに関する覚書を交わし、2026年の運行開始を目指すなど、10年後にはシンガポールとのアクセス向上が見込まれるマレーシア。マレー系、中華系、インド系などさまざまな民族が混在し、マルチリンガルな国民が多い国としても注目を集めています。10年連続で「日本人が住みたい国」1位に選ばれるなど、移住や投資先、日系企業の進出先としても人気のマレーシアのトレンドを紹介いたします。

 

 

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マレー系女性の伝統服が“日本風”を取り入れて進化

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2016年のマレー系女性服のトレンドは「着物風マレー服」であった。一般の女性が着るのは通常の伝統服「バジュコロン」というもので、その袖の部分が着物の袖のようになっているものが流行した。高級なものでは、本物の着物の生地で仕立てた服も登場し、パーティーシーンなどで注目を集めている。さらに2016年は女性が頭に巻く「ヒジャブ」のトレンドとしてターバン式や、少数民族の伝統的なスタイルを取り入れたファッションが目立っており、2017年も引き続きこのブームは続く傾向にある。ユニクロの店頭ディスプレイでも「ヒジャブ」はターバン式に巻かれており、同店の商品も記録的なヒットとなった。

トレンドの背景

伝統服の「バジュコロン」も、毎年デザインの変化、流行がある。2016年のトレンドはその名も「キモノ バジュコロン」。国内における日本ブームがファッションデザインにも取り入れられる形となった。2015年から着物や帯の生地を使ったハンドバッグやセカンドバッグなどの小物が流行っていたが、今年は服が着物の生地で作られた他、イスラム服ジュバ(アラブ系女性の長いワンピース)で腰に帯のイメージで幅広のベルトを付けるスタイルも人気となった。

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ベンチャー起業発「糖質を取り除く」炊飯器

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糖質の元となる、デンプン質を米から取り除く最新の炊飯器「TORC」が話題を呼んでいる。マレーシアのベンチャーメーカー 「GRAYNS」が開発したもので、米を高温で炊くことで化学反応を起こし、米の中から粘化したデンプン質分子が分離する技術を採用している。このような特殊技術を用いているため、6,000RM(約15万円)前後と高額である。しかし、健康意識が高く糖尿病を危惧する、生活に余裕のあるシニア層を中心に人気に火がついた。これまでの炊飯器の場合、デンプン質が解けた水で米を炊いていたため、デンプン質が米に吸収されてしまっていたのだが、そのままの水で炊かない4段階の炊飯システムを搭載している。

トレンドの背景

一般的なマレーシア人の食生活やライフスタイルは健全とは言えず、運動不足や砂糖の過剰摂取によって糖尿病は毎年増加傾向にある。マレーシアの伝統食には砂糖やココナッツミルクなどを大量に使うメニューが多く、近年ではこうした素材を避ける人も少なくない。また主食である白米を、糖質の少ない玄米に変更する人が増えるなど、健康志向が高まる中「TORC」が発売され、注目を集めた。同商品は家電量販店ではなく、薬局やドラッグストアで販売されているという点も健康志向者にポジティブな印象を与えている。

ドライフルーツ&野菜を使用したデトックスウォーター

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マレーシアでは近年のヘルシー志向が定着し、野菜やフルーツのコールドプレスジュースショップが増加を続けており、モールや商店街にもジューススタンドが見られるようになった。また、ミネラルウォーターにカットしたレモンやライムを入れたデトックスウォーターも若い女性の間で定着してきている。最近では、そのデトックスウォーターを、ドライフルーツやドライベジタブルとハーブでつくることがトレンドになっている。日本の本物の商品を取り揃える、10月にリニューアルオープンした「ISETAN The Japan Store」でも、日本の緑茶や乾燥リンゴやモモなどを使用した「フレーバージュース」を販売。また、欧米で注目されているスーパーフード、コーヒーの果皮「カスカラ」を使ったドリンクを提供するカフェも増えるなど、健康なものを取り入れたいというニーズが高まっている。

トレンドの背景

ハーブやフルーツをカットして水の中に入れるだけの簡単にビタミンを補給できるヘルシー系ドリンクが好まれている。 欧米セレブのヘルシートレンドの流れ受け、マレーシアのビューティーコンシャスな女性の間でも、手軽に安価で自分でつくることができるデトックスウォーターとして流行。透明のボトルに入れると、見た目に鮮やかでクリーンなイメージから、ボトルで持ち歩く人も多い。今ではファッションの一部にもなっている。

健康意識の高まりから登場したヘルシーインスタント麺「OatMee」

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国民に愛されているMaggiのインスタント麺にも、健康意識の高まりから新商品が登場した。10月に発売された「OatMee」は、小麦51%と、糖質の少ない全粒オート麦49%からつくられ、食物繊維が豊富に含まれている。12種類のスパイスをブレンドしたカレー味で、広告では「さまざまな野菜と一緒に調理すればよりヘルシー」と謳っている。健康を気にしているがインスタント麺も食べたい人や、母親が子どもに食べさせる時に選択するなど話題になっている。価格は1パック4個入りでRM6.99(約175円)。

トレンドの背景

インスタント麺は健康に良くないとわかっているものの、Maggiブランドは国民食と言っても過言ではないほど、多くのマレーシア人が好んで食している。オート麦を使用し、食物繊維が摂取できる「OatMee」は、インスタント麺は食べたいが、糖質や栄養価が気になるという人にとって、罪悪感を感じることなく食べられる。健康意識の高まりにより、「OatMee」のようにこれまで当たり前にあった食品も変化を見せている。ベジタリアンやヴィーガン食を取り入れる人の増加で、本来は牛の乳からつくられるチーズもヴィーガンに対応し、豆腐でつくられた「ヴィーガンチーズ」が登場。スーパーマーケットでも購入できるようになるなど、ヘルシーフードの需要は年々高まっている。

日本好きマレーシア人から火がついた「instax」&「SMART DOLL」

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日本発のカルチャーが数年前から引き続き人気であり、日本好きのギーク(オタク)から発信されるアイテムやコンテンツもトレンドになっている。「instax」はFUJIFILM「チェキ」の新商品。カラーバリエーション豊富なポラロイドカメラで、撮ったその場で楽しめるとあり、写真好きのマレーシア人にヒット。また、スマホで加工した画像を瞬時にプリントアウトできる「instax Share」も注目を集めた。スマホで撮影し、加工した写真を「instax Share」でプリントアウトし、友達にプレゼントしたり、スマホの画面上だけでなく、プリントアウトした写真に文字やイラストを描いて楽しむなどしている。また、「SMART DOLL」は、マレーシア発の世界的シューズブランド「JIMMY CHOO」を立ち上げたセレブデザイナー、Jimmy Choo氏の息子であるDanny Choo氏がプロデュースした人形。日本好きのギークだけでなく、マレーシア観光庁のマスコットキャラクターになるなど、多くの注目を集めた。

トレンドの背景

セルフィー(自撮り)好きが多いマレーシアでは、モール、街中、カフェなど、至る所で写真撮影が行われている。このような写真好きの国民性が「instax」人気に火をつけた。ジャーナルブックづくりのワークショップなど、イベントも開催され、盛り上がりを見せている。また、「instaxで撮影した写真」をスマホで撮ってInstagramに投稿するという不思議な現象も流行している。また、「SMART DOLL・末永みらい」は、日本好きのギークの間で人気上昇中。Danny Choo氏は、日本のポップカルチャーやサブカルチャーを世界に発信しており、日本好きのマレーシア人にとっては憧れの存在となっている。


■東南アジアで最も多い糖尿病罹患者を

 抱える国だからこそ続々生まれるヘルシートレンド

東南アジア最大の糖尿病罹患者を抱えるマレーシアでは糖分、脂肪分を避けようという風潮が数年前から生まれている。自国のベンチャー企業からデンプン質を除去する炊飯器「TORC」が、大手食品メーカーMaggiから糖質を抑え、食物繊維が摂取できるインスタント麺「OatMee」が発売されるなど、健康意識の高まりを受けて生まれる商品やサービスは引き続き需要が高まっていくことが予想される。

■食、カルチャー、ガジェットなど

 「日本発」に高い関心を示す親日国

2016年10月にリニューアルオープンした「ISETAN The Japan Store」は日本コンセプトの高級百貨店。日本の産品やコスメ、ファッションを求める富裕層を中心に話題となるなど、マレーシアは日本のモノ・コトに高い関心を示す親日国。今回ランクインした“着物風”バジュコロン、instax、SMART DOLLも日本キッカケのトレンド。中華系マレーシア人向けの「日本酒バー」などもオープンしており、訪日旅行経験があるマレーシア人も増加しているため、今後も「本物志向の日本」関連のトピックは注目が集まっていくであろう。上述の健康志向から生まれるトレンドにも関連するが、腸内の働きを活性化させる「培養菌食」として、味噌、麹、糠といった日本の伝統食の関心も高まりを見せている。

■東南アジアと中東を結ぶハブ&

 ムスリムトレンド発信地

マレーシアの経済成長は落ち着き、近年は低迷気味。一方、成長著しく、2億人超の人口を抱え、巨大マーケットとして注目される隣国・インドネシア。同じイスラム教国家でもあることから、マレーシアの若者はインドネシアをライバル視しているが、中東からの旅行者はインドネシアよりもマレーシアをよく訪れている。マレーシアの厳格なハラル制度や英語が通じる点などから、ムスリムの旅行先として人気で、アラブの富豪が避暑地として足を運ぶなどもしている。マレーシアは中東と東南アジアのムスリムが交わる国であり、中東と東南アジアのトレンドがミックスされ、新たなトレンドが生まれる場になることが予想される。

 

TNCアジアトレンドラボでは、こうした動きを2017年も引き続きウォッチしてまいります。他国のトレンドランキングの更新もどうぞお楽しみに。
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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2016年11月

調査対象者:クアラルンプールに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住500人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


■問い合わせ先

株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 木下・濱野

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