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2016年アセアン・トレンドランキング ~シンガポール編~

シンガポール
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世界中の企業が集まる都市国家・シンガポール。近年は政府が国民の生活向上のためのアプリの開発を積極的に行う他、街の至る所にセンサーとカメラを設置し、公共スペースの清潔さや交通機関の動きを監視するなど、世界初の「スマート・ネイション」の実現を目指す動きも活発になってきました。アジアでもトップの先進性を誇るシンガポールのトレンドランキングを紹介します。

 

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日本との国交樹立50周年で「日本ブランド人気」沸騰

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シンガポールでは、2016年度が日本・シンガポール外交関係樹立50周年にあたり、日本大使館主催による「SJ50まつり」が開催された。日本の伝統文化やポップカルチャー、ジャパンブランドをアピールすることが目的となり、日本のさまざまな団体が参加した。また、当行事にちなみ、ユニクロのアジアフラッグシップストアがシンガポールの若者や観光客が集うオーチャード通りのショッピングモール「ORCHARD CENTRAL」に開店。また、北海道「きのとや」チーズタルトの姉妹店である「BAKE」がオープン。2~3時間の行列ができるほど人気になっている。

トレンドの背景

シンガポールでは、2015年に建国記念50周年を意味する「SG50」というフレーズが浸透していたこともあり、「SJ50」という名称もすんなりと受け入れられた。また、近年では「Jetstar Asia Airways」や「Tigerair」 などの格安航空会社の便が増えたことや円安により、訪日旅行者が増え、日本への関心が高まっているタイミングということもあり、注目が集まった。

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「UberEATS」の登場で活況を見せるフードデリバリーサービス

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オンラインのフードデリバリーサービスの需要が高まっている。2012年3月にシンガポールで初めてフードデリバリーサービスを展開した「foodpanda」や、ロンドンに拠点を置くスタートアップ企業「Deliveryroo」などに加え、配車サービスの「Uber」が2016年5月からフードデリバリーサービス「UberEATS」の提供を開始。「UberEATS」は既存のサービスに対抗するように、もともと抱えている配車サービスのドライバーやライダーを活用し、シェア拡大を図っている。

トレンドの背景

フードコートや「ホーカーセンター」と呼ばれる屋台群や飲食店が集まる場所が豊富で気軽に利用できることや、輸入に依存しているため生鮮食品が高いこと、共働きが一般的であることなどから、毎日外食を食べるという人が多い。フードデリバリーは家や職場にいながらにして、さまざまな飲食店のメニューが食べられると、シンガポールで浸透。配車サービスで高い信頼度を誇る「UberEATS」が支持されている背景には、ドライバーの質が良いことや、配車アプリ用に登録してあるクレジットカードでの支払いが可能で気軽に利用できることなどが挙げられる。ビジーワーカーの20~30代がよく利用している。

世界が注目するシンガポール発のムスリムファッション

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ロンドン、ジャカルタ、クアラルンプールでファッションショーを開催し、話題となったシンガポール発のムスリムファッションブランド「Sufyaa」や、シックでストリートな雰囲気のムスリム向けファッションブランド「LULLY SELB」 など、シンガポールは近年ムスリムファッションの先進国として、国際的に注目を集めている。ヒジャブ(ムスリムの女性が被るスカーフ)やドレスやアクセサリー、キッズラインなども展開している。価格は「Sufyaa」のヒジャブで30~36SGD(約2,400~2,900円)前後。また、マレーシアのトレンドランキングでも取り上げたが、2015年からムスリム向けファッションラインを取り入れた「ユニクロ」がラインの拡大化や、アジアフラッグシップストアであるシンガポール店で、ムスリム向けファッションの売場面積を増やしている。

トレンドの背景

シンガポールのムスリム人口は人口の約14%、75万人と国内でのマーケットは大きくないが、国際的に見ると世界の人口の約23%、69億人がムスリムである。イギリスやインドネシア、マレーシアなど、ムスリムの女性が自由にファッションを楽しむことができる国の若者から支持され、ビジネスとして成功を収めている。2015年、オンラインショッピングサイト「LAZADA」がムスリム向けファッションの販売を開始するなど、少し前から大きなマーケットになると目されていた。また、2016年11月に日本で初めてのムスリムファッションショー「TOKYO MODEST FASHION SHOW 2016」が開催され、注目を集めた。

都市国家の移動に最適な「パーソナルモビリティ」

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セグウェイに似た持ち手のない“ホバーボード”や“電動スクーター”、“立ち乗り電動一輪車”などの「パーソナルモビリティ」を街中で見かけることが多くなった。若者やスーツ姿のビジネスマンなどが利用しており、車道ではなく歩道を走行している。国土の小さい都市国家であるシンガポールでは、「パーソナルモビリティ」が合理的な移動手段として浸透しつつある。セグウェイは公道で乗ることができず、レジャーが楽しめる人工島のセントーサや公園、レジャー施設などの指定の場所でしか利用できない。

トレンドの背景

渋滞解消や狭い国土の問題から自動車の数を抑制する必要があるため、車への税率が100%に設定されている。さらに政府が発行するCOE(新車購入権)を手に入れる必要がある。そのため、車の金額が高いシンガポールでは、MRT(電車)やバス、タクシー、Uberなどの交通機関を利用する人が多い。しかし、通勤ラッシュ時の混雑・渋滞が深刻などの理由から、「パーソナルモビリティ」に注目が集まっている。2016年12月現在、「パーソナルモビリティ」に対する法規制が明確に定まっておらず、歩道があまり広くないこともあり、歩行者との接触事故が多発しており、法規制が検討されている。

高い質の教育を安価に受けられる「大規模保育施設」オープン

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シンガポールの新興住宅エリア「プンゴル」に最大500人の園児を受け入れられる大規模保育施設「E-BRIDGE PRE-SCHOOL IN PUNGGOL」がオープンした。プンゴルは中間層以上の共働きの若い夫婦が多く、保育施設への需要が高いエリア。施設を運営するのはアジア各国で私立学校を展開し、シンガポールに本社を置く「EtonHouse International Education Group」と政府。一般的な保育施設よりも保育料が低く、良質な教育を受けられると話題になっている。乳児は1ヶ月あたり1,275SGD(約10万円)、幼児は720SGD(約58,000円)で預けることができる。今後、同規模の施設を4校設立する計画がある。

トレンドの背景

シンガポールの保育費は月額300~2,000SGD(約20,000~16万円)の幅がある。 政府系の保育施設には600SGD(約50,000円)前後で通わせることができる。「EtonHouse International Education Group」の一般的な保育施設の場合、月額1,700-1,800SGD(約14万円)ほどの金額であるが、「E-BRIDGE PRE-SCHOOL IN PUNGGOL」は、720SGD(約58,000円)。政府系保育施設とそれほど変わらない金額で「EtonHouse」というブランドと実績のある保育施設に通わせることができると、若い中間層の夫婦に特に人気となっている。

 


■コンパクトな都市国家だからこそ生まれるトレンド

都市での移動に適したパーソナルモビリティをいち早く取り入れる、自国の市場だけでなく海外市場を見据えてムスリムファッションを展開、2015年にランクインしたUberの新サービス「UberEATS」など、コンパクトな都市国家で求められるモノやサービスが生まれやすい環境にある。「スマート・ネイション」計画も人口や面積がそれほど大きくないため、新たなシステムを導入しやすいという。多くの国や企業がシンガポールのこれからの姿がどのように変化を遂げるのか、注目している。

■政府主導の変化を受け入れる

政府と民間による大規模保育施設や政府がリリースする生活向上アプリ、「スマート・ネイション」計画など、政府による改革やイノベーションを受け入れる国民性で、2017年も政府主導で新たな公共サービスが生まれることが予想される。また、今回ランクインしたパーソナルモビリティは歩行者との接触事故が多発しているため、法律による規制が進むものと思われる。

 

TNCアジアトレンドラボでは、こうした動きを2017年も引き続きウォッチしてまいります。トレンドランキングの総括もどうぞお楽しみに。
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■調査概要調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、およびライフスタイル・リサーチャーによる定性調査

調査時期:2016年11月

調査対象者:シンガポールに5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代前半の、トレンドに敏感な層

調査実施機関:株式会社TNC(http://www.tenace.co.jp/)および海外協力会社


■株式会社TNC

各国の高感度層で構成される現地ボードメンバーと共にグループインタビューやリサーチを定期的に行い、ウェブサイトで情報発信や分析を行う『TNCアジアトレンドラボ』を2015年8月よりサービス開始。また70カ国100地域在住500人の日本人女性ネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング、PR業務を行う会社です。現地に精通した日本人女性が、その国に長く暮らさないとわからない文化や、数字に潜む意味をひもとき、日本人が未だ知らない斬新なモノやコトを探すインバウンズ、日本企業が進出する際のベースとなるリサーチ・アウトバウンズや、現地の人たちの暮らしぶりや生活習慣のレポートから、海外におけるヒント探し、市場レポートなど幅広く対応します。また、レポートに基づいた視察のアテンドも行っております。


■問い合わせ先

株式会社TNC TNCアジアトレンドラボ編集部 木下・濱野

TEL:03-6280-7193 FAX:03-6280-7194

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